ワークショップのイメージを図解化してみる
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ワークショップのイメージを図解化してみる

2016/10/19

00.blog, 05.ワークショップ

 

皆さんはワークショップって何?と聞かれたら、どんなイメージを思い浮かべますか?

 

「楽しいグループワークのような感じ」「付箋紙や模造紙を使ってわちゃわちゃする」「司会の人が色々やってくれる」など、これまで自身が体験してきたワークショップの種類や回数によって、そのイメージは大きく異なってくるのではないでしょうか。

 

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■ワークショップのイメージを端的に言い表すのは難しい…

何がワークショップで、何がワークショップではないのか。その判断基準は非常に曖昧で、既存のワークショップデザイナーによっても意見が異なります。その原因の1つが、ワークショップが持つ自由度の高さです。

 

ワークショップはその自由度の高さから様々な領域で活用されています。たとえば教育の領域では「学びの手法」、アートや演劇では「創造の手法」、まちづくりやビジネスでは「協働や問題解決の手法」、医療や介護では「多職種連携やリフレクション(内省)の手法」といった感じです。

 

プログラム構成を自由にアレンジでき、多様なシチュエーションに対応できるのがワークショップの魅力の1つですが、大前提として「ワークショップという場がもつ普遍的な要素」や「心得るべきスタンス」が存在しており、良い場をつくるためにはそれらを理解しておくことが重要です。

 

なので今回は、そういったワークショップを語る上で捉えておくべき重要ポイントを、自分なりに図解化してみました。

 

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■ワークショップの定義

まずはワークショップの定義からです。

 

講義など一方的な知識伝達のスタイルではなく,参加者が自ら参加・体験して共同で何かを学びあったり,創り出したりする学びと創造のスタイル

中野民夫(2001)『ワークショップ-新しい学びと創造の場』

主体的に参加したメンバーが協働体験を通じて創造と学習を生み出す場

堀公俊(2008)『ワークショップ入門』

創ることで学ぶ活動

山内祐平・森玲奈・安斎勇樹(2013)『ワークショップデザイン論』

 

 

有名な定義は上記のものですが、これらを踏まえた上で私はワークショップをこう定義しています。

新しい学びと関係性を創るための「場のデザイン手法」

 

私は「ワークショップって何?」と聞かれたら、一言で言えば「手法ですよ」と答えます。そこで「何の手法なの?」と聞かれたら「場をデザインするための手法ですよ」、さらに「どんな場をデザインするための手法なの?」と聞かれたら「『新しい学びと関係性を創るための場』をデザインする手法ですよ」と答えます。

 

ちなみに、ここでいう「新しい学び」とはその場にいる誰もがまだ持っていない経験・意味付け・知識・智恵・アイデアのことを意味しています。

 

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■イメージは「林間学校でのカレーづくり」

まず、私がワークショップを説明する際は、ざっくりと小学校で体験した、林間学校でのカレーづくりみたいなもんですよとお伝えするところから始めます。

 

皆さんも小学生の頃、林間学校でカレー作りませんでしたか?

 

ワークショップとは詰まるところ、本当にあんな感じです。つくる目的や緊迫感、シチュエーションが違うだけで、ワークショップの場で巻き起こっていることは、ほぼ「林間学校でのカレーづくり」と等しいです。

 

林間学校初日の夕食準備。とりあえず「カレーをつくる」という目的だけ決まっているが、正直誰もちゃんとカレーをつくったことがない。何名か自宅の夕飯準備でお母さんを手伝ったことはあるけれど、さすがに1人でカレーはつくれない…。生徒の中には「人参の皮なら剥ける」という子、「ご飯の炊き方なら知ってる」という子、「正直料理したことないけど、何か手伝いたい」という子、「味見は任せろ。俺は辛口が好きだ」という子、本当色々いる。いつもは何でも知ってる先生も、今日に限ってはなぜか「先生料理少し苦手だから、みんなで協力して美味しいカレーつくろね!」と少し頼りない感じがする。役割分担したり、味付けの方向性をみんなですり合わせたりするのは正直気が重い…。でも誰か1人に任せててもラチがあかないし、それにここで頑張らないと今日の晩飯がない。みんなで力を合わせて、どうにかしてカレーをつくらなければ…!

 

・・・そうこうしているうちに、なんとなくカレーっぽくなってきた。途中、「甘口か?辛口か?」で揉めて少し喧嘩になりかけたけど、なんとかみんな納得する味付けに落ち着けることができた。カタチになってくると楽しいし、「自分もクラスの役に立ててるかも」と思うと少し嬉しい。あと意外だったのは、普段ちゃらんぽらんしてる奴が積極的にリーダーシップを発揮していたり、教室では大人しかった子がすごいテキパキ作業していたりと、普段見たことないみんなの顔が見れて少しビックリした。一緒にジャガイモの皮を剥いたあの子とも、たぶん学校に帰っても今まで以上に仲良くやれると思う。家に帰ったら、お母さんとお父さんになんて報告しようかな。そうだ、今度は私が1人でカレーをつくってみよう。そして家族みんなに喜んでもらうんだ!楽しみだな…。

 

と、少し大げさですがざっくり言えばワークショップとはそんな感じです。

 

カレーの例は置いといて、上記のプロセスをたどる上で重要になってくる5点のポイントを紹介します。

 

 

■1. 「まだここにない学びや関係性をともに創造しよう」という気概が重要

ワークショップでは参加者の心のベクトルがどこに向いているかが非常に重要です。

 

「ファシリテーターから新しい知識を教えてもらいたい」、「他の参加者から新しいアイデアをもらいたい」という享受のマインドではなく、「まだこの場にいる誰もが手にしていない智恵やアイデアをみんなで生み出そう!」という創造のマインドが必要なのです。

 

 

■2. ファシリテーターと参加者は、ともに対等な立場で場に貢献しあう

ワークショップでは、授業や研修とは違い「与える側と与えられる側」という立場の違いがありません。

 

なので、ファシリテーターと参加者はともに対等な立場で、場に対して最大限の貢献を行います。ここでの貢献方法は、人によって様々で問題ありません。貢献の仕方も、その熱量も、一概に基準があるわけではなく、お互いができる限りを尽くせばいいのです。

 

そういった多様な関わり方を場全体が受容し合えるよう、ワークショップ中の空気感は意図的にデザインする必要があります。

 

 

■3. ファシリテーターには重要な役割がある

対等な立場でありながら、ファシリテーターには固有の役割が存在しています。

 

それは問いを投げること参加者全体の固定観念を揺さぶる新しい情報を提示することです。詳しくはまた別のブログ記事で書きたいと思いますが、この2つがどれだけ上手く場にフィットしているかで、そのワークショップで得られる「新しい学びと関係性」の質が変わってきます。

 

ただ個人的に思うのは、良いワークショップの場合、この役割すら参加者自身が自然と担っているケースが多いということです。

 

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■4. 場から生まれた「新しい学びと関係性」は皆で共有し、分かち合う

互いが持つ固有の学び(経験・意味付け・知識・智恵・アイデア)をテーブルに出し合い、その結果生まれた「新しい学びと関係性」は、その場の全員の力によって創造された共同作品です。

 

「AさんはBさんよりも沢山意見を言ったから、この成果はAさんのおかげ」ということではないのです。

 

その場で生成された学びはきちんと全員で共有しあい、分かち合うことが重要です。

 

 

■5. 場から生まれた「新しい学びと関係性」を受け入れる柔軟性も大切

しかし、その場で生成されたもの(生成されようとしているもの)を素直に受け入れられない時もあります。

 

それは、自分が今まで信じてきた情報や価値観とは真逆のものが生まれようとしている時です。人はそういう時、事実をなかなか素直には受け入れられません。すぐ受容できる人もいれば、沢山の時間が必要な人もいます。

 

その場で生まれた「新しい学びと関係性」を皆が受け入れられるよう、できる限りの支援はすべきですが、無理強いする必要はありません。時がくれば自然と腹落ちすることもあります。

 

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■終わりに

今回はワークショップのイメージを図解化してみました。今後も「図解化シリーズ」ということで色々書いていきたいと思っています。

 

また、11月5日(土)に医療者向けの「ワークショップデザイン講座〈入門編〉」を開きます。もし「医療領域でのワークショップデザイン」に少しでもご関心のある方がいらしたら、ぜひお気軽にご参加ください。よろしくお願いします。

 

 

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